06.構想未来オピニオン

2008年3月31日 (月)

財政縮小か?積極財政か?道路特定財源をEコマースから見る

                           事業本部長 細野晴義

いよいよ道路特定財源暫定税率が期限切れとなった。これによって地方の財政を圧迫させることも危惧されているが、一方で第一生命経済研究所の永濱利廣主任エコノミストの試算によると、暫定税率を廃止した場合、家計と企業の税負担はそれぞれ1.6兆円、1.1兆円程度軽減されるという。その結果、2008年度の消費が0.2%、住宅投資が0.3%、設備投資が0.2%増加する(3/30ロイター)。

さて、私はこの道路特定財源については無駄であり、さっさと、暫定税率の恒久廃止、そして一般財源化させるべきであると考えていた。しかし、単純にそうはいかないのではないか?と最近考えはじめている。

それは、自分の専門であるマーケティング的な視点からだ。現在Eコマースの市場は伸びており、約5兆円ある。ただし正確な数字は私にも良く分からない。通販が5兆円でそれとは別枠だという言い方もあれば、BtoBは10兆円以上あるとか数字にあまりにも開きがあるからである。ただ、この流れは伸びることはあっても止まることはない。Eコマースの市場が倍になれば物流も増える。その物流というのは2倍になるのかというと、この手のものは大体N乗倍という数式が働く事が多い。物流というのも、対消費者(要するにBtoC)が増えれば、仕入れなどの需要(要するにBtoB)も増えるわけで、そう考えると、第ニ東名などは事業者向け専用にしてもいいのではないか?と思うくらい、道路は恐らく足らなくなる

通販・Eコマースの企業にとっては、対消費者向けアピールという観点からも、事業計画を立てる上でも送料の問題は大きく、その送料には有料道路の代金が含まれている。また、「直ぐに届ける」ことも大きな課題であり、道路が逼迫すれば実現が難しくなる。そうすると伸びつつある新たな市場に水を差すことになりかねない

さて、冒頭に話を戻してみると、これで25円ガソリンが下がるのかといったらそうではなくて、円高よりも原油高の影響が大きく、石油各社が提示しているのは△22円である。

また、0.2%あげるには、暫定税率を下げる代わりに、赤字国債を発行するのが条件であるとか。すると、コストパフォーマンスを考えた場合、果たしてこの0.2%押上げるというのは経済規模の大きな日本のGDPで言う場合には誤差範囲の範疇ということにならないのか?

Eコマースというこれまでとは全く異なる視点で見てみると、道路の整備はこれからだという気もする。道路の問題はとかず情緒で語られることも多い。地方が可哀想だとか、開かずの踏み切りの問題であるとか、しかしこれらはすべて経済パフォーマンスという観点からしても重要である。Eコマースには物流センターはつきものだし、鉄道や航路、海路との連携も必要であろう。都心では素早く届けるための仕組みも必要だ。

そう考えていくと、単純に道路は要らない、とは言えないのではないか。ただ、論点が20世紀的であることに社会との齟齬を生んでしまうのである。

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   執筆者紹介  細野晴義(ほそのはるよし)

構想未来インターフィールド事業本部長兼主席研究員(コンサルティング・フェロー)
有限会社ニューロ・テクニカ ダイレクト・レスポンス研究所代表取締役社長チーフ戦略プランナー。マーケティング・コンサルタント。
全日本DM大賞審査委員日本DM協会DMME資格審査委員を務めるダイレクト・マーケティングのパイオニア。
次世代マーケティング育成法「細野メソッド」を確立した家元的存在として、2500名ものマーケティング専門スタッフ育成に寄与。
趣味は落語。著書に『Powerpointでつくる企画書ベスト事例集』(翔泳社、2002年)、『企画の道具箱』(実業之日本社、2004年)、『お客様を信者に変える!』(実業之日本社、2004年)がある。その他、2005年にはBIGLOBE BB-WAVEにて『PowerPoint使い倒し術』やビジネス道場において『細野晴義の最前線レポート』を連載。

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2008年3月 2日 (日)

予算成立の見通しとスケールの小さな国会で未来を語れるか?

                          事業本部長 細野晴義

2008年度予算案が29日、衆議院本会議で可決された。参議院に送られるが予算は30日で自然に成立するので実質成立である。

今回はガソリン国会(揮発油税)だと言われている。
天下国家を語るところが国会ではないのだろうか?

昨年のテロ特措法以来、国会が政局主体になっている所に、私は危機を感じぜずにいられない。
ある意味国会が機能不全に陥っているのではないか?ねじれの問題など言われていることであるが、ここはひとつ、大きな問題を扱うという国会の本命に立ち返ってはどうだろうか?
例えば、、こうしたことはまったく別の議論がなされている道州制と一緒に考えてみる。

揮発油税25円の問題で国の動きをストップさせるのではなく、道州レベルでストップさせた方が機能不全がもたらすコストは最小限に食い止められる。

私がこのように批判をしたところで、国会議員がさぼっているわけではない
彼らの忙しさは常人のものではないことは良く知られることである。
テレビや報道ではほんの数秒でしか伝えられないことも、7時間も8時間もずっと審議をしている。
並みの気力、体力では勤まらないのも国会議員なのだ。

1.大きな問題を抱える日本

サブプライムによる影響はいよいよ本格化してくる。然程の影響は無いという向きもあるが、サブプライムの厄介なところは、債券などに複雑に組み込まれているため、どこまで波及するか分からない所にある。

日本の場合、こうした外的要因だけでなく、日本の市場にお金が集まらないという状況に陥っている。今や東京市場の取引は世界9位から10位のあたりをさまよっているという有様である。また、早々に石油価格や穀物価格の上昇などが与える影響、そしてドルを抱え込んだままという状況からすると円高へのシフトをせねばならないなど、経済はまった無し。本来は揮発油税どころではないのだ。

これから雪だるまのように増えていると言われている社会保障費建築業者への融資枠というのも後ろ向きな政策だ。消費者庁を作ってどうするのか?生産者と消費者の区別がなくなるプロシューマ(prosumer)と言われる時代の消費者像をどう描くべきなのか?を考えるのが先である。

先日大田経済財政政策担当相は「内需拡大を盛り込んだ、21世紀前川レポートの作成」を発表したが、今こそグランドデザインを描かなければならない大切な時期に、こうしたアイデアは幾分安堵させてくれる。しかし政府からは大胆なメッセージは起きないし、野党は政局に懸命だ。

2.国会の機能不全の原因を解決するには

いわゆるガソリン税について言えば、25円云々するのなら、道州制とセットで考える、という方法もあるはずである。私はこのガソリン税の暫定税率の問題を「小さな問題」としているが、しかし、地域からすれば「大きな問題」だ。なので必ずしも道路特定財源=悪ではない

日本には既に基幹となる道路は張り巡らせているので、あとは道なり州なりの判断ですべきである・・・本来こうした議論をするのが国会議員の役割ではないのか?

しかし実際には25円の話である。もうそろそろ、こうした話題は国の話題ではなく、一段下げてはどうか?しかし一段下げるにしても、県レベルにしては人口の差異、つまり守備範囲に差があり過ぎるし、県をまたぐ課題は多い。鳥取、島根の両県はそれぞれ65万程度であるが、政令指定都市の横浜市は350万にも達する。「ある程度のまとまりは必要である」。

一方、この国会の機能不全とも言うべき状況はどこから来るのか?あまりにもやることが多過ぎるのである。戦後日本国憲法が出来たとき、経済財政政策担当相もいなければ金融担当相もいなかった。環境省も無かった。社会保険の不明分の解明などということも起きなかった。経済規模は昭和30年ごろ8.6兆円程度のものだったのが、今や550兆にものぼる。道州制で10程度に分割しても、ひとつの州あたり50兆円程度を扱うことになり、それでも世界12位である韓国の半分程度、19位のスウェーデンと同程度の経済規模に及ぶ。

今国会で行われている議論の多くを道州に分権していけば、意思決定のスピードアップにつながり、国会はグランドデザインを描くことに終始できる。

これは別途、構想未来が論じる『インキュベーション論』につながるのであるが、国会が550兆もの経済規模に見合った議論をしなければ国会と言うものの存在、あるいは国の機能そのものが空洞化しやしないかと憂う。

その兆候は既に出ている。今回のサブプライムローンの問題は政府の介入の限界を示している。幾ら国家が小手先の政策を講じたところで、複雑に入り組んだ金融商品とグローバル化には太刀打ちが出来ない。そして国内を見ても、既に電子マネーの普及でマネーは国の管理下、つまり銀行の知るところではないところで動きはじめているのである。
いつまでも大判、小判の話をしても仕方あるまい。

3.インキュベーション論への道筋

裏を返せば、国会議員にとって、本来これだけやりがいのある時代はないはずだ。
また、機能不全の時期というのは日本の歴史を見てみると大きな変化が起きる前兆でもある。
徳川幕府の末期、太平洋戦争の末期、為政者達は何も手が打てなかった。

道州制、あるいはちょっと触れてみた『インキュベーション論』については別途このブログを通じて説明はするが、
機能不全に陥っている今であるからこそ、日本の国全体が新たなパラダイムを描く絶好の機会なのである。

構想未来では、こうした問題に対処するための戦略の提案、アイデアを発信していきたいと思う。

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   執筆者紹介  細野晴義(ほそのはるよし)

構想未来インターフィールド事業本部長兼主席研究員(コンサルティング・フェロー)
有限会社ニューロ・テクニカ ダイレクト・レスポンス研究所代表取締役社長チーフ戦略プランナー。マーケティング・コンサルタント。
全日本DM大賞審査委員日本DM協会DMME資格審査委員を務めるダイレクト・マーケティングのパイオニア。
次世代マーケティング育成法「細野メソッド」を確立した家元的存在として、2500名ものマーケティング専門スタッフ育成に寄与。
趣味は落語。著書に『Powerpointでつくる企画書ベスト事例集』(翔泳社、2002年)、『企画の道具箱』(実業之日本社、2004年)、『お客様を信者に変える!』(実業之日本社、2004年)がある。その他、2005年にはBIGLOBE BB-WAVEにて『PowerPoint使い倒し術』やビジネス道場において『細野晴義の最前線レポート』を連載。

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