財政縮小か?積極財政か?道路特定財源をEコマースから見る
事業本部長 細野晴義
いよいよ道路特定財源の暫定税率が期限切れとなった。これによって地方の財政を圧迫させることも危惧されているが、一方で第一生命経済研究所の永濱利廣主任エコノミストの試算によると、暫定税率を廃止した場合、家計と企業の税負担はそれぞれ1.6兆円、1.1兆円程度軽減されるという。その結果、2008年度の消費が0.2%、住宅投資が0.3%、設備投資が0.2%増加する(3/30ロイター)。
さて、私はこの道路特定財源については無駄であり、さっさと、暫定税率の恒久廃止、そして一般財源化させるべきであると考えていた。しかし、単純にそうはいかないのではないか?と最近考えはじめている。
それは、自分の専門であるマーケティング的な視点からだ。現在Eコマースの市場は伸びており、約5兆円ある。ただし正確な数字は私にも良く分からない。通販が5兆円でそれとは別枠だという言い方もあれば、BtoBは10兆円以上あるとか数字にあまりにも開きがあるからである。ただ、この流れは伸びることはあっても止まることはない。Eコマースの市場が倍になれば物流も増える。その物流というのは2倍になるのかというと、この手のものは大体N乗倍という数式が働く事が多い。物流というのも、対消費者(要するにBtoC)が増えれば、仕入れなどの需要(要するにBtoB)も増えるわけで、そう考えると、第ニ東名などは事業者向け専用にしてもいいのではないか?と思うくらい、道路は恐らく足らなくなる。
通販・Eコマースの企業にとっては、対消費者向けアピールという観点からも、事業計画を立てる上でも送料の問題は大きく、その送料には有料道路の代金が含まれている。また、「直ぐに届ける」ことも大きな課題であり、道路が逼迫すれば実現が難しくなる。そうすると伸びつつある新たな市場に水を差すことになりかねない。
さて、冒頭に話を戻してみると、これで25円ガソリンが下がるのかといったらそうではなくて、円高よりも原油高の影響が大きく、石油各社が提示しているのは△22円である。
また、0.2%あげるには、暫定税率を下げる代わりに、赤字国債を発行するのが条件であるとか。すると、コストパフォーマンスを考えた場合、果たしてこの0.2%押上げるというのは経済規模の大きな日本のGDPで言う場合には誤差範囲の範疇ということにならないのか?
Eコマースというこれまでとは全く異なる視点で見てみると、道路の整備はこれからだという気もする。道路の問題はとかず情緒で語られることも多い。地方が可哀想だとか、開かずの踏み切りの問題であるとか、しかしこれらはすべて経済パフォーマンスという観点からしても重要である。Eコマースには物流センターはつきものだし、鉄道や航路、海路との連携も必要であろう。都心では素早く届けるための仕組みも必要だ。
そう考えていくと、単純に道路は要らない、とは言えないのではないか。ただ、論点が20世紀的であることに社会との齟齬を生んでしまうのである。
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執筆者紹介 細野晴義(ほそのはるよし)
構想未来インターフィールド事業本部長兼主席研究員(コンサルティング・フェロー)
有限会社ニューロ・テクニカ ダイレクト・レスポンス研究所代表取締役社長チーフ戦略プランナー。マーケティング・コンサルタント。
全日本DM大賞審査委員、日本DM協会DMME資格審査委員を務めるダイレクト・マーケティングのパイオニア。
次世代マーケティング育成法「細野メソッド」を確立した家元的存在として、2500名ものマーケティング専門スタッフ育成に寄与。
趣味は落語。著書に『Powerpointでつくる企画書ベスト事例集』(翔泳社、2002年)、『企画の道具箱』(実業之日本社、2004年)、『お客様を信者に変える!』(実業之日本社、2004年)がある。その他、2005年にはBIGLOBE BB-WAVEにて『PowerPoint使い倒し術』やビジネス道場において『細野晴義の最前線レポート』を連載。
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